こんにちは。迷える翻訳者です。
『ハイロイン~你丫上瘾了?~』という作品の森の中で、ときに咆哮し、ときに爆笑し、ときに涙しながら訳しています。
そんな翻訳者の迷いやぼやきをブログに綴ってみました。
制服のランニングとはなんぞや。
昨今インターネットの普及により、調べものはかなり楽になりました。実物も写真付きですぐに出て来ます。
作品中に何度も出て来るキーワードの一つに「校服的背心(制服のランニングシャツ)」があります。
これが悩みの種でした。
中国の中高生の制服は主にジャージです。
“背心”という言葉の訳は「ベスト、ランニング」。
さらにAIに尋ねると、
「背心是一种无袖上衣,通常设计简单,适合夏季穿着或作为内搭。根据不同的设计和功能,背心可以分为多种类型,适合不同场合和需求(ランニングは袖なしのトップスの一種。通常はシンプルなデザインで、夏に着用したりインナーとして着用するのに適しています。デザインや機能によって、シーンやニーズに合わせて様々なタイプに分けられます)」
という答えが。
制服の“背心”となると、日本の高校生が着るようなニットベストが登場します。
しかし、本編の中では「夏制服の“背心”」とあります。素材もニットではなく白い木綿。
おにぎりが食べたくなっちゃうようなやつでしょうか?
いやいや、ドラマでバスケをする高校生がランニングを着ていたような気もする……。
中国の中高生が着用する夏制服を画像検索すると、半袖のポロシャツがほとんどです。
ポロシャツには袖があるけど、“背心”には袖がない。襟元にボタンがある描写もない。
気を取り直してハイロインのドラマを見てみよう。
すると、当該シーンではジャージの上着が出てきます。
袖がないどころか長袖の上着。ランニングとはまったく関係ない。うーむ。
これは別物だと理解し、原作に戻ります。
原文に書いてあるとおりに
原文に“背心”とある以上、袖はないと解釈するしかない。
物語の中でかなり重要なアイテムでもあるこの「“背心”問題」については、何度も話し合いが行われました。
単純に“校服(学校の制服)”とせずに“背心”と書いたことにはきっと意味があり、袖も襟もないほうがいい理由があるのでしょう。
原作者様のこだわりを感じ、我々は最終的に“背心”は「ランニングシャツ」「ランニング」という訳を選びました。
ジャージじゃないの?ポロシャツじゃないの?
と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、そんな理由の「ランニング」です。
